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奈良のシカ捕獲、殺処分のニュースに思うこと

奈良県がシカによる食害対策としてシカの捕獲・殺処分に乗り出したことに対し、自然保護団体が捕獲・殺処分の中止を求める要望書を県に提出しました。

自然保護団体が中止を求める

奈良市のシカは、これまで天然記念物として保護されてきましたが、市の郊外では田畑を荒らすシカが深刻な問題となっています。奈良県は特定の区域に限りシカを捕獲・殺処分することを決め、7月31日から罠を設置していました。これに対し、自然保護団体が「捕獲して殺処分するのは残酷だ」として県に中止を求める要望書を提出しました。

シカによる農作物の食害

シカの食害は奈良だけでなく、全国的に問題になっています。

農作物の被害は農家の生活を圧迫します。

生活の糧として、水をやり、肥料をやり、雑草をむしり、手塩にかけて育てた農作物が収穫される事無く、シカの食害に遭っても補償をしてくれる所はありません。

農家にとっては非常に辛いです。

シカによる森林の被害

シカによる被害は農作物だけではありません。森林にも深刻な被害をもたらしています。

シカは木の皮を食べ、シカの口に届く高さの枝葉や植物が消失してしまいます。

樹皮を食べられた木は枯れてしまいますし、植物による土壌の保水力が失われ土砂災害の原因の一つとなります。

また、林業の生産コストも増大し、日本の林業の競争力が失われます。

最終的には森林にシカの食べ物が無くなり人間の生活エリアまで食べ物を探しに来ます。

そして農作物を食べるのです。

シカによる交通被害

私は通勤で国道1号線の滋賀と三重の県境である鈴鹿峠を毎日往復しています。

深夜に鈴鹿峠を通ると車道を歩くシカを必ず見かけます。

また、車と衝突したシカの死骸や、シカと衝突したり、シカを避けようとして事故を起こし走行不能になった乗用車やトラックもかなり頻繁に見かけます。

人の命も危険にさらされているのです。

増えすぎるシカ

シカが増えすぎる原因は様々あります。

天敵であるオオカミがいなくなった事、野犬が減った事、地球温暖化、ハンター人口の減少などが複合的に絡み合いシカの異常増加につながっているそうです。

冬の道路の凍結防止に散布される「塩化カリウム」がシカに塩分を補給して、寿命が延びているというデータもあるそうです。

動物保護団体は柵の設置を求める

動物保護団体は「無用な殺生は犯罪だと思います。柵を強化することによって(食害の)被害を減らす、こっちに進むべきだと思います」(日本熊森協会・森山まり子会長)との見解を示しています。

私の考えは…

まず柵についてですが、広大な野山が住処のシカを完全に柵で囲おうと思えば凄まじい距離の柵が必要です。

柵の費用負担を農家と行政に強いるのも問題です。

増えすぎるシカを放置して置くと、森林は枯れて保水力が失われ土砂災害が起こります。

そしてシカの食べ物も無くなり、いずれ餓死して行きます。もちろん、他の動物にも影響があります。

死の森になってしまいます。

動物による森林の食害被害の8割はシカに依るものです。

動物保護団体がシカがかわいそうと言うのも分からないでは無いですが、人間が文明社会で生きる限りは人の暮らしがあってこそです。

捕獲・殺処分か放置かどちらが残酷かは冷静に考えればわかる事です。

人間と自然が共存するためにも奈良県の判断は正しいと思います。