message in a bottle

大好きなラジオ、音楽、街、スポーツ、家族の事。 そして自分の忘れたくない事を綴ります。

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広島の原爆の日 朝刊コラム読み比べ

昨日は広島原爆の日でした。

NHKテレビの中継を見ていたのですが、慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」の文字が胸に迫り、自分も含め全人類が反省して肝に命じなければと思いました。

戦勝国、敗戦国、核保有国、非核国関係無しにです。

 

広島原爆の日各紙の朝刊コラムを読み比べてみました。

毎日新聞、余録

  • スマートフォンの地図では無く、紙の地図を広げれば世界の中の自分が見えてくる。
  • 映画「この世界の片隅に」の片渕監督らが作ったロケ地図が人気。
  • 地図は過去と今を結びつけてくれる。
  • 戦後72回目の原爆の日にあたり、世界で起きている事と昔の出来事がどうつながっているか、紙の地図から見えてくるかもしれない。

毎日新聞は直接的な表現を避けつつも、原爆投下前後の広島の変わり様を「この世界の片隅に」を通して例に挙げ、核兵器がじわりと拡散してゆく現実を知らなければならないと訴えています。

非常にソフトな表現です。

朝日新聞、天声人語

  • 冷戦終結後も核兵器が無くならない現実
  • 最近、ムシャラフ元パキスタン大統領がインドへの核攻撃を検討していたと告白。
  • 核には核と言う抑止力の土台の脆弱さを指摘。
  • 指導者が正気を失えばどうなる?最初から疑いたくなる指導者もいる。
  • 核兵器禁止条約を抑止にかわる答えに育てるべき。

朝日新聞は具体的な例を挙げ核抑止の危うさを指摘しています。

骨抜きになりつつある核兵器禁止条約の再構築を訴えています。

産経新聞、産経抄

  • 惨禍を生き延びた人が、生き延びた事を悔いてしまう。
  • 教育も理性も一発の原爆で吹き飛んでしまう。人の尊厳を一瞬で焼き尽くす閃光の罪深さ。
  • スポーツを例に挙げ、武器も取らず、誰をあやめることもなく争うすべを、人類は太古の昔から知っていたというのに。
  • 核開発にひた走る愚かな独裁者がいる一方、日本独自の核抑止力が論じられる危うさ。
  • 惨禍の光を再び許してはなるまい。広島・平和公園の歌碑にはこう刻まれている。〈まがつびよ/ふたたびここに/くるなかれ/平和をいのる/人のみぞここは〉。災厄の神よ、ここには二度と来るな。湯川秀樹博士の詠んだ、痛切な願いである。

産経新聞は、核兵器は人間を心身ともに傷つけると指摘。核の脅威がこれまでになく現実味を帯びていると警告しています。

日本経済新聞、春秋

  • 戦後、広島市の爆心地から北に1キロの広島城の外堀と太田川に囲まれた基町という地区にいえを焼かれた庶民が土地を占拠して不法に建てられたバラック(通称原爆スラム)が建てられていた。
  • 1970年代に不法住宅は全て撤去され住宅難の市民を救済する市営基町高層アパートが建てられる。基町の戦後に一区切りがつけられる。
  • アパートに今も暮らす94歳の女性が平和を願い、太田川の土手に植えた柳が今も残る。
  • 高齢化が進む基町で、柳に込めた平和への願いが若い人に語り継がれることを願う。

日本経済新聞は、戦争や核兵器への言及は避け、庶民の願いと暮らしにフォーカスしています。

各紙の平和への願い

各紙、日頃の主張は大きく違いますが、原爆の日は当然ですが平和を願う内容です。

朝日新聞と産経新聞が抑止力について、よく似た主張をしているのが興味深いです。

オバマ訪問以降の広島

昨年アメリカ合衆国大統領だったオバマさんが、現職大統領として初めて被爆地、広島を訪れました。

1時間足らずの滞在でしたがとても大きな意味があったと思います。

昨年の原爆資料館の来館者は過去最高だったと聞きます。

オバマさんが原爆資料館に足を運び、慰霊碑に献花する様子を見た多くのアメリカ人、そして世界中の人々が広島を訪れてくれる事でしょう。
被爆者の方々と語らい抱擁する様子は感動的であり、まさか自分が生きている間にこの様な光景を目にするとは思いもよらない事でした。

そして、とても印象深いスピーチがありました。
科学の進歩で便利な世の中になり、多くの命が救われる一方、それを戦争に利用してしまい、あらゆる物を破壊し人の命までも奪うという人間の矛盾を指摘し、科学の進歩に合わせた人間のモラルの進歩を促すと言う内容でした。
子どもという言葉もたくさん出てきました。それは自分の世代では成し得ないことを次の世代に託したいという思いがあったのではないでしょうか。
核なき世界を訴えながら、一度手にした核兵器を手放す事の難しさを痛感してるオバマさんの素直な気持ち、そして被爆者に寄り添う気持ち、未来に向けての希望が込められた、色んな政治的制約が有りながらも、少なからず差別も経験してきたであろうオバマさんならではの心からのメッセージだったと感じました。

我々の日常、また、子どもを取り巻く環境にも便利さとモラルの問題がある様に感じます。

オバマさんの17分のスピーチに終わりの無い宿題を与えられた様な気がします。

 

外国人だけでなく、我々日本人も、修学旅行等で広島を訪れた事があっても、大人になり再び広島を訪れることをお勧めします。自分の中に子供の頃とは違った感情と想いが湧いてきます。